ちょっとだけズレてる(6)

 つい最近、鳩山総務相(当時)が東京中央郵便局の建て替え工事現場で「おい、これ何だ。壊れてるじゃないか。だれだ壊したのは」と発言したそうですね。古いものを大事にするという考えは大いに結構ですが、単に古くて珍しいものは壊してはダメ、新しくてありふれたものは壊してもよい、という意識ですとなかなか現代のものは後世に残りませんよね。静岡市で50年前の建造物があまり現代に残っていないのには、流行や耐久性の問題などさまざまな理由があると思います。でも私がちょっと感じてしまうのは、もしかしたら静岡の人は自分たちの文化を東京的(標準的)なもの、つまりありふれたものと勘違いしてしまい、保存しなくてもよいと思ってしまっているのではないかということ。それで意識のなかで、徳川の時代以降から現代までにぽっかり空洞ができてしまったのではないかと。でもそんなことはないのです。私たちはちっとも標準的じゃないし、なにも四百年前までさかのぼらなくても、面白いものは今、目の前にあるはずです。
 冒頭で紹介したナビゲーションシステムの話に戻りますが、いま私のナビキャラは静岡中部(女)に設定されています。起動すると「いまから音声案内するよ。いい?」「あとちぃっとで右曲がるだよ」「もうちっとだよ。たいへんだっけね、おつかれさま」と言ってくれます。心和むではないですか。関西弁ほどのインパクトはないですが、この標準からちょっとだけズレた感覚、意外と私は好きです。
 
 
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