ウナギを食べるという文化(1)

「○○名物と○○産」
 仙台名物に「牛タン」というものがあります。牛の舌を分厚くスライスして数日間熟成させたものに、麦飯やテールスープを添えて出す牛タン定食が有名でして、焼肉屋でよく見かけるタン塩とはちょっと違います。私も仙台に立ち寄った際に食べたことがありますが、厚さの割に歯ごたえが柔らかくてこれが実に旨い。現在、仙台市内にはこの牛タン専門店が100件近くもあるそうですが、数年前、ある出来事がこの牛タンに大打撃を与えました。BSE問題です。アメリカ産の牛肉が輸入禁止となったことで、仙台の牛タン専門店が商売できなくなってしまったというのです。テレビでこのニュースを聞いて、私は「ん?」って思いました。「仙台の牛タンって、仙台の牛を使ってるんじゃないの?」って。そこでいろいろ調べてみたところ、もともと仙台には原料となる牛が少なく、発祥当時からよその牛を使っていたようですね。つまり原料が「仙台産」なのではなく、料理法や食べ方が「仙台流」というわけです。
 さて、私たちが暮らす静岡にも名物と呼ばれるものがたくさんあります。ウナギもそのひとつ。ウナギというと浜名湖を思い浮かべる人も多いでしょうが、県の中部でも吉田、大井川、焼津地区を中心に大規模なウナギ養殖が行われ、かつては静岡県産ウナギが全国生産の4分の3を占めていた時代もありました。昭和40年代後半のことです。特に吉田町は単独の町としては日本一の生産量を誇り、吉田が全国のウナギ相場を決めていたといいます。ところが、50年代に入ると愛知県などの他地区に押されて生産量は減少。現在では台湾産や中国産といった輸入ものが消費の大半を占め、静岡県内の養殖池はどんどん少なくなっている状況です。私は今、執筆業のかたわら、吉田町で小さなウナギ問屋を営んでいます。そこで、静岡名物と呼ばれるウナギについて、吉田町からの視点で少しお話ししたいと思います。
 
 
Home > Works > ウナギを食べるという文化 [1][2][3][4]