ウナギを食べるという文化(2)
「ニッポンのウナギ事情」
現在、日本で一年間に消費されるウナギの量は約10万トン。そのうち国産ものはわずか2万トンしかありません。残り8万トンは中国産や台湾産ということになります。また国内の生産量を県別で見ていくと、いちばん多いのが鹿児島県、次いで愛知県、宮崎県、そして静岡県となっています。静岡県の生産量は約1500トンで、全体からするとたったの1.5%。こうなりますと、単純に考えて普段みなさんが口にしているウナギの98.5%は静岡県産以外のものということになります。静岡県民としてはちょっとショッキングな数字ですね。さらにつっこんだ話をすると、国産のウナギは日本で生まれたわけではありません。ウナギというのはまだまだ謎の多い生物で、卵から成魚まで育てて再び産卵、孵化させるという完全養殖が確立されていない。ですから、養鰻関係者は遠い海で生まれたシラスウナギと呼ばれる稚魚を捕まえて、それを養殖池で育てるということを毎年やっているのです。冬の寒い夜に大井川港とかに行くと、このシラス漁を見ることができます。漁といっても網でドバッとすくうような派手なものじゃありませんよ。堤防の上から集魚灯を垂らして、何分かごとに寄ってくるシラスウナギを一匹ずつ網ですくうという非常に地味な作業です。ところが、こうした国内のシラス漁だけでは土用の丑の日に間に合わないため、国内の養鰻業者は多くのシラスウナギを台湾や中国から輸入していました。数年前からは資源保護を理由に台湾のシラスウナギ輸出が全面禁止されましたが、それまでは太平洋で孵化して台湾や中国に接岸、捕獲されたシラスウナギを日本の養殖池で育て、国産ウナギとして流通させていたというわけです。今、「産地」ということがいろいろ騒がれていますが、ウナギの産地は「いちばん長く暮らした場所」ということになっています。極端なことを言ってしまえば、中国で3カ月飼育したウナギを輸入して日本で4カ月育てれば、それは国産となってしまうのです。それを良しとするかどうかは別として、現状はそうなっているということです。
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