たこ焼屋「八笑来堂(やわらぎどう)」(1)

 2009年、浜松市中区にオープンしたたこ焼屋「八笑来堂」。ちょっと読みづらいですが、これで「やわらぎどう」と読みます。仕事仲間の社長が新しく会社をつくってたこ焼屋をオープンしようというときに相談を受け、プロデュースをお手伝いさせていただきました。
 
 まず店名ですが、社長から出された条件は「笑」という字を入れたい、最後に「堂」という字を入れたいという2点。オーソドックスに考えれば、「笑福堂(しょうふくどう)」とか「楽笑堂(らくしょうどう)」といったように「笑」を「しょう」と音読みさせることが多いかと思います。しかし、それでは面白くありませんから、「笑」を「わら(う)」と訓読みさせて、「wa-ra」という音に別の意味を重ねてやろうと考えました。掛詞の手法です。

 ここからはひらめき一発なのですが、「笑(wa-ra)」は「和らぎ(ya-wa-ra-gi)」という言葉に掛けて、前後の「ya」と「gi」にあてる字を続けて考えていきました。ちなみに、「笑」という字を「wa-ra」と訓読みさせた場合には、必ずワ行の送り仮名(活用語尾)が付くのですが、これを省略することで変調なリズムをつけています。このあたりのリズムの取り方を誤ると「夜露死苦」といったようなヤンキー言葉になってしまいます…。
 
 さて頭の「ya」ですが、こちらはすぐに「八」という字が浮かびました。「八」は末広がりで縁起がよいこと、さらにタコの足の数にもあっているのでこのお店の名前としてはうってつけということで決定。そして「gi」。まず思いついたのは「喜」でした。「大喜利(おおぎり)」の「喜」ですね。こちらは笑点でもおなじみで「笑」という字とも相性が良いのですが、「八笑喜堂」ではちょっと重たい感じがしましたし、相性が良すぎてちょっとつまらない。そこでもう少しライトな感じの「来」をあてました。これにより、笑いがやって来るという別の意味も付加することができました。
 
 まとめますと、「たこ焼を食べた人みんなに縁起の良い笑いがやって来る、そうしてみんなに和らいでもらいたい」といった思いが「八笑来堂」という店名に込められているというわけです。
 
 
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