ウナギを食べるという文化(4)
「食べてこそわかることもある」
香川県の高松駅前に2004年、四国初のラーメンテーマパークがオープンしました。全国展開する有名ラーメン店6店舗が軒を並べ、開業当初はけっこう賑わったそうです。実は私も一昨年にここを訪れて、おいしいラーメンをいただいた記憶があります。しかしその人気も長続きせず、お店はどんどん入れ替わり、3年間で延べ11店舗が撤退したといいます。理由はおわかりでしょう。香川県は讃岐うどんを食べる地域だからです。総務省の調べによりますと、高松市は「日本そば・うどん」に支出する1世帯あたりの金額が都道府県庁所在地別で1位。一方、「中華そば」は47都道府県中45位だそうです。関係者も「うどん文化の根強さは想像以上。麺の共存はたやすくない」と頭を抱えていたとか。まあ、私の場合はうどんばかりだと飽きてしまうので、あえてラーメン屋に入ったわけですが。
さて、ウナギの場合はどうでしょう。ラーメンに比べてウナギは嗜好品的な性格が強いですから、地域によって食べるところと食べないところの差は大きいと思います。例えば、「ウナギの蒲焼きの地方別1世帯当たりの支出金額(平成19年)」という統計によりますと、いちばん多く蒲焼きを食べているのが東海地方で5,016円、次いで近畿地方の4,670円、関東の4,053円と続きます。いちばん少ないのは北海道の1,852円。興味深いのは、県別のウナギ生産量で1位と3位を擁する九州・沖縄地方が、消費量だと9地方中7番目の2,462円だということ。九州ではあまりウナギを食べないんですね。
この、ウナギを食べるという事実は意外と重要ではないかと私は思います。例えば、「おいしいウナギというのはどんなものなのか」ということを、ウナギ産業に従事している人だけでなく、その親類や知人、近所の人たちがみんな無意識的に理解しているということですから。私のところでも、ときどき半端ものを白焼きにして近所の人に配っています。そうすると、「今回のウナギはああだった、こうだった」といった情報が配った人たちから返ってくるんですね。これはありがたいことです。冒頭で、仙台は牛の産地ではないけれど、仙台流の料理法や食べ方をもっていると書きました。私たちが暮らす静岡、特に志太榛原地区も、現在はウナギの産地としてはちょっと元気ないですが、ウナギを食べるという文化をもっています。私が吉田でウナギの仕事をしている意味もここにあるのではないでしょうか。近年では、量こそ多くはないですが、「特色をもった、こだわりのウナギ」を生産する動きが志太榛原地区でも出てきています。そして、いつかまた吉田産のウナギが脚光を浴びる日が来たらおもしろいと、私はそう思っているのです。
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